光の街

昔子供の頃に 誰も知らない街へ
眠るふりをして時々出かけてたんだ

そこは天国だった みんな天使に見えた
まるで全ての愛がそこにあるかのような
人も動物もみんな仲良く暮らしていたし
遠い国境を越え やってくる人もいた

そこに住む人はなぜか 争うことを知らなかった

おれは毎日のようにそこへ行って遊んだ
川で魚と泳いだり 踊ったりして遊んだ
お腹が空くといつも おれの大好きだった
パン屋のおじいさんがうまいパンとミルクをくれた

そこに住む人はみんな 何もかも分け合っていた

ある日友達が死んだ おれは川原へ下りて
不思議な色をした空を見上げてたんだ
遠い宇宙の果てに取り残されたようだ
その日もあの街へ行った 死んだそいつと遊んだ

そこに住む人はなぜか 悲しみも憎しみも知らなかった

でもいつの日からか そこへ行けなくなって
いつの頃からか その街のことは忘れた
おれは現実を生きた 人が人を騙したり
人が人を殺したり それが現実だった

ここは天国じゃないし みんな天使でもない
でも楽しくやってる 無い物ねだりをただ繰り返していただけ
本当のことはすべて 形のないものだとわかった



戻る

inserted by FC2 system